ふるさとだより


2013 年 4 月 30 日 火曜日

神社にお参りすること

大宝八幡宮の大祭で代々伝わる十二座神楽の1つ「五行の舞い」を舞う園児たち。年長女児全員が交代で舞う。10年前、ウィーンで開催された世界音楽祭にも参加し、人気を集めた
大宝八幡宮の大祭で代々伝わる十二座神楽の1つ「五行の舞い」を舞う園児たち。年長女児全員が交代で舞う。10年前、ウィーンで開催された世界音楽祭にも参加し、人気を集めた

大宝保育園は神社の境内にあります。開設以来、園児たちの“参拝”は日課になっていて、卒園式はもちろん、毎月1日の月次祭(つきなみさい)には、年長児が昇殿して玉串をお供えしています。宗教的な神事はともかくとして、日本古来の伝統的な儀式や行事に触れることで、子どもたちには感謝することを学んでほしいという園の方針です。

参拝というと、「高校や大学に受かりますように」とか、「テストで良い点がとれますように」など、いつも何かしらの願いをかけてお参りすることが多いと思いますが、大切なのは、「ありがとう」という感謝する気持ちでお参りすることだと思います。子どもたちにも、お参りでは「生きていることに感謝」、「ご飯が食べられることに感謝」、「今日も元気で過ごせたことに感謝」などなどを話して、「こういうことに“ありがとう”を言おうね」と伝えています。

毎年6月、大相撲・高砂部屋が3泊4日の合宿を境内で行う。最終日には年長男児が土俵に上がり、稽古をつけてもらう。写真は朝赤龍に挑む園児
毎年6月、大相撲・高砂部屋が3泊4日の合宿を境内で行う。最終日には年長男児が土俵に上がり、稽古をつけてもらう。写真は朝赤龍に挑む園児

近年、保育園選びは保護者のリサーチも厳しく、入園前説明会には両親そろって来られ、熱心に園内を見学されます。その上で、神事に触れることができる環境に好意を持ってくださり、神社参拝を日課にしていることに保護者全員が納得してくださっています。私としても子どもたちに強制するのではなく、保育園での生活を通して自然に神様の存在に触れられれば良いと思っています。ですから、子どもたちと接する際、特に3~5歳児のところでは、昔話などをしながら、「いつでも、どこからでも神様がみておられるのですよ」と神様に見守られていることを伝えています。様々なことに感謝する心を育てたいと思うと同時に、“神様”という目に見えない、けれどもいつでもどこからでも見守っていてくださる存在に“畏敬の念”が持てるようになればいいと思っています。このことだけでもないのでしょうが、子どもたちは早い段階でルールを守ることを自覚し、行動も落ち着いてくるようです。ちなみに当園の食事前の挨拶は、「お父さん、お母さんありがとう。神様いただきます!」です。

EM環境マガジン(エコピュア)平成21年連載記事より抜粋  ※当園理念ブックを元に拙稿

2013 年 4 月 26 日 金曜日

昼食前のお昼寝で取り戻した生活リズム 

一般的にお昼寝というと午後にとりますが、当園では平成8年度より午前寝を採用しています。これだと60分の睡眠でも寝起きがすっきりで、着替えてちょうど12時から昼食ができるようになっています。寝てから食べるので、乳児の眠り食べも見られなくなりました。

午後にお昼寝をしていた平成8年度以前には、大宝保育園にも夜更かしや朝寝坊の子どもがたくさんいました。8時ごろに起きてボーっとして登園、11時半ごろに給食を食べて、やっと目が覚めてきたころにまた昼寝して、起きたらボーっとおやつを食べて、また脳が動かなくなって、夕方になったら、今度はランランとしてきて夜遅くまで元気になってしまう。そういう生活の子どもが多くいました。昼間イキイキと過ごせなかったら、どんなにいい保育をしても効果がありません。

年1度、大宝八幡宮に高砂部屋が合宿に来る時は午後午睡をしますが、どうしても60分では足りないようで、1時間半~2時間寝てしまうのです。このように、午後に2時間寝てしまうと、「夜、早寝してください」と、保護者に呼びかけても無理な話なのです。保護者ばかりに要求するのではなく、園でも対策をとらなければなりません。

そして、午前午睡を始めたのですが、当初は、夕方早く眠くなってしまって、ご飯も食べられないし、お風呂にも入れない…と苦情が相次ぎました。習慣になっている1日のあり方を変えることは簡単なことではなく、保護者の苦情と職員の反感に押しつぶされそうになりながらも、「夕飯よりも睡眠の方が大事、お風呂に入らなくても平気!」と、午前寝を強行してきました。

数か月過ぎたころ、効果が見えてきたのです。朝からあくびの子、ボーっとしている子がいなくなりました。早寝早起き、ハイハイ運動で元気になり、逆上がりができる子が圧倒的に増えたのです。子どもが変わることによってスタッフ始め保護者の意識も変わりました。

午前中のお昼寝は、子どもたちに生活の張りを呼び戻した
午前中のお昼寝は、子どもたちに生活の張りを呼び戻した

午前寝に変えたばかりの時は「これでいいのかな?」という不安がありましたが、子どもの変化とともに自信に変わり、今では確信になっています。加えて、年間を通して室内は裸足、外は素足に草履の生活で、運動も毎日行なっていますから、低体温児は皆無、丈夫で風邪を引いたとしても回復も早いです。小学校に行っても運動面等で活躍しているという嬉しい報告をよく耳にします。

社会は夜型になっていますが、「不易と流行」という言葉の通り、早寝早起きは三文の徳とも言います。単に「子どもはそうするもの」というルールに止まらず、子どもの発達にとってとても重要なこととして捉えたいです。

〔大宝保育園のEM活用法〕
毎朝、ハイハイ運動を始める8時45分~9時の間、床をキレイにするのと足腰を鍛える目的から、全園児で雑巾がけをしています。スタッフが「米のとぎ汁EM発酵液」(以下EM発酵液)を床に吹きつけ「魔法の水」等と言いながら、みんなで楽しんでやっています。EM発酵液は肌にも優しいようで、雑巾しぼりによる手荒れはなく、またホコリもあまり舞い上がらなくなりました。
「動」である全身の粗大運動、ハイハイ運動30分と、「静」である手指の微細運動30分を毎日セットで実践しています。「動」と「静」の間に必ずコップ1杯の水を飲みますが、この水は逆浸透膜水をEMタンクに入れたもので、塩素臭のない、口当たりが柔らかく子どもたちは美味しいと言って飲んでいます。
午睡中、冬季は特に乾燥するので加湿器が欠かせませんが、加湿器にEM発酵液を添加しています。静電気の発生が押さえられ、アトピー性の肌にも優しいようです。
午睡用の布団やベッドにもEM発酵液を噴霧しています。布団に染みこんだニオイが軽減され、天日干しのようにふんわりした感触になります。
午睡後は昼食ですが、台拭き用のバケツや、手洗い用の洗面器にもEM発酵液を入れています。雑菌の繁殖を押さえてくれるようです。

 ー平成21年“EM環境マガジン”(11回連続掲載)より抜粋ー

2013 年 4 月 25 日 木曜日

4年前の≪EM環境マガジン(エコピュア)≫に連載で掲載されたものを、紹介しています。

素足に草履で元気いっぱい

大宝保育園では、室内は素足、戸外は草履を履く生活をしています。また、「身体の発達を保障する」という考えから、体幹を育てるためにハイハイ運動を取り入れています。ハイハイ運動といっても延々とするのではなく、おおよそ30分の時間内に「四つばい」、「手押し車」、ワニのようにはう「ワニばい」、前頭葉を活性化すると言われている「高ばい」の4種類を基本に15~20種類の運動がセットになっています。運動を楽しみながら、子どもたちは最後まで頑張ろうとする気持ちを育てていくようです。体幹がしっかりすると姿勢が良くなり、正座する生活でそれを維持することが可能になります。

赤ちゃんのハイハイは体づくりの根幹
赤ちゃんのハイハイは体づくりの根幹

これらの全身運動を毎日継続することで、子どもたちの土踏まずの完成率が5歳児で90%前後と以前よりずっと高まりました。本来、土踏まずは就学前で7~8割が完成するはずですが、最近の子どもたちは小学1年生で5~6割程度という報告もあります。

草履を履いてかけっこ。転んだりケガをする子が少なくなった
草履を履いてかけっこ。転んだりケガをする子が少なくなった

運動することは、体幹を育てるのみならず、低体温を予防します。最近は運動不足や生活リズムの乱れから子どもでも低体温が多く見られます。しかし、毎日30分の運動によって解決できるのです。運動後に体温を測ってみると、ほとんどの子どもが36.8度~37.2度になります。37.2度が最も脳が働く体温と言われていますが、運動後に行う指先運動ではとても集中できるようになっています。同時に低体温予防は、免疫力アップにも繋がっています。

足にフィットした草履は、健やかな体を育む
足にフィットした草履は、健やかな体を育む

運動プログラムではこの他に柔軟性を養うメニューも入れています。このことによってケガが激減しました。ハイハイ運動を取り入れてからは、医療費が激減しました。加えて、巧緻性を養うプログラムによって、身体が不自由から自由になり、細かい動きができるようになって、自信が持てるようになっています。例えば、できなかった「側転」ができるようになると表情がイキイキしてきます。

このことは他のことにも及んでいくのです。ハイハイ運動を開始して半年後には鉄棒の逆上がりができるようになった子が激増しました。身体の発達は、中心から末端に育っていきます。ハイハイ運動を毎日行うことで、逆上がり、三点倒立、側転、竹馬など、割合早くできるようになることを実感しています。

2013 年 4 月 24 日 水曜日

4年前のEM環境マガジン(エコピュア)に投稿したものを、紹介させていただいています。

異年齢保育で育つ思いやり





保育園は1つの家族であり社会でもある。異なった年代の考えや思いにもまれて”個としての人格”が育っていく

昔は多子社会で、世代や世代同居は当たり前だったので大家族が多く、いろんな年齢の子どもたちが混ざり合いながら社会を形成し、その中で成長していったものです。最近は子どもの数が減って、1人または2人という家族が多くなっています。保育園まで年齢別ですべてを分けてしまうと、子どもによっては自分よりも年上や年下の子どもと全く触れ合う機会がなく育ってしまうことになります。「それは自然ではない」。そんな理由から大宝保育園では3~5歳は異年齢保育を取り入れています。

保育園は子どもの発達を援助するところですから、発達の異なる子を一緒にした方が、より発達を援助できるのです。制作物をつくる場合、3歳児だからやさしいもの、5歳児だから難しいものと決めつけてはいないでしょうか。3歳児でもできる子はいるし、5歳児でもできない場合もあります。そんな時、年齢で分けるよりも、異年齢で過ごした方が居心地良いはずですし、頭も気も使うので、身体のみならず心の発達も著しいものがあると確信しています。

異年齢保育を始めた当初、3歳の子の親から「以前はこんな子ではなかったのに、何か意地悪になった気がする」と相談を受けたことがあります。「何でだろう?」と私は考えました。

よく観ていると、年長の子は小さい子とどう接して良いか分からなくて、面倒をみるだけでなく、時には「あれ取ってこい」と命令口調になっています。3歳だった彼女はそのすべてを一度に受け止められなかったのかも知れません。しかし、彼女は園の中で面倒をみてもらったり、時には命令されたり、いろんな体験を経ながら年中・年長になるにつれて、すごく思いやりが持てるやさしいお姉さんへと育っていきました。お母さんも驚いて、「3歳の時はちょっと意地悪なこともして、妹のことをいじめたりもしていたけど、年長になったらすごく妹思いになっちゃって」と話してくれました。

年上も年下もいる。そういう社会の中でじっくり、長い時間をかけて人間関係を学びながら育つ。「親」という文字は、「木に立って見る」と書きます。まずは、「見守る」ことから実践してみましょう。

2013 年 4 月 23 日 火曜日

今から4年前の平成21年に,毎月1回“EM環境マガジン(エコピュア)”に11回連続で掲載されたものを、今日から少しずつ紹介させていただこうと思います(第1回は除きます。)。又当然ながら園内で、どういうところでEMを使っているかも出てくることがあります。

自立できる子ども
思いやりがある子ども
協調性がある子ども
健やかで、たくましい子ども
感謝できる子ども
人を信じられる子ども
主体性のある子ども

大宝保育園が保育を通してめざしている子ども像です。たくさんあるように見えますが、私たちにとってはすべてが大切なテーマです。自分の力で人生を幸せに生きられる力を持てる子どもに育てること。一言で言い換えるならば、“自立”。これが私たちの保育の目的です。

安易に手を出さず見守る

野性味溢れる遊びが大好きな子どもたち。規格外の世界で子どもたちは適応への自己判断を養う
野性味溢れる遊びが大好きな子どもたち。規格外の世界で子どもたちは適応への自己判断を養う

近年、少子社会で、家庭では子どもに目が届き、手をかけられるようになりました。しかし、これは一見やさしさの表れのように思えますが、困る前に手を出し、口を出してしまうため、子どもたちの周りから危険なものは取り払われてしまうことになるのです。安全が確保され、失敗する経験もなくて済みますが、その結果困った時に問題を解決しようとする能力も失われかねません。つまり、“自立”が遅れがちになる可能性があります。

そこで、私は「大人が何でもやってあげる保育」ではなく、「見守る保育」を園内に徹底することにしました。子どもは、自ら進んで何かをやる気持ち=主体性を必ず持っています。子どもが何かをやり始める前に、やってあげたり、与えたりしまうことは、せっかく自ら行動しようとしている芽を摘み取ってしまうことになるからです。

1つの例ですが、ゆで卵を自分でむけない子がいます。それはその子ができないのではなく、本人が体験しようとする前に、すべて周りがやってあげているのです。これでは、子どもの可能性あるいは、潜在機能・潜在能力が発揮する前につぶされてしまうことになりかねません。子どもが求めることに全部応えること、やってあげることが愛情だと思っている方もいらっしゃるかも知れません。私はそうではないと思います。「三つ子の魂百まで」と言います。3歳のころまでに体験することは、大人になって行動する際の基礎になるよ、という意味です。

自立した大人になる大切な一歩は、幼児期にこそ始まっていると私は思います。歩き始めのころはよく転びます。転ぶと、「わあっ大変!」とばかりにすぐ抱き上げてしまう保護者が多いのです。1人で起き上がるためには、手や足のみならず全身の筋肉を使うのです。このせっかくの機会を奪ってしまっているのは残念なことです。また、それに伴い、転んだときケガをしないようにと、机の角にクッションを施したり、段差をなくしたり。遊び場からも、回転ブランコや箱形ブランコ等のスリルあるものが撤去されています。

子どもから危険を回避する能力だけでなく、遊ぶ楽しみも奪っているのです。大きなケガは避けなければなりませんが、少しのケガならむしろ必要だと思います。大宝保育園では、「体の発達を保障する」という考えのもと、体幹を育てるためにいろいろな全身運動を取り入れています。このことについては、次回で詳しく説明しますが、「危険だ、危険だ」と言って子どもに何もさせないと、結局、身体も回避能力も育たないと私は思っています。

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