ふるさとだより


褒める人間は敵と思え・・・

国民的テレビ番組『笑点』の司会者としてお馴染みの落語家・桂歌丸氏。
落語家人生63年を迎え、77歳のいまも高座に上がり続けています。
高座まで自分の足で歩いて行って喋れる体力と気力さえあれば「生涯現役」。目を瞑る時まで落語を磨き続ける。
そんな桂歌丸さんが語った「人生の秘訣」とは──。
     
≪・・・これは今輔師匠から言われた言葉なんですが、「褒める人間は敵と思え。教えてくれる人、注意してくれる人は味方と思え」という教えは大切にしています。
普通、人間っていうのは褒められれば嬉しいですよね。怒られたら「畜生」と思いますよね。
それは逆だって言うんですよ。
若いうちに褒められると、そこで成長は止まっちゃう。木に例えれば出てきた木の芽をパチンと摘んじゃうことになる。
で、教えてくれる人、注意してくれる人、叱ってくれる人は、足元へ水をやり、肥料をやり、大木にし、
花を咲かせ、実を結ばせようとしてくれている人間だって。
これは噺家になってすぐ言われたんです。
私の高座を聞いた人が今輔師匠に「彼は子供だけど噺がしっかりしてる」って言ったそうなんです。
それを受けて、私に注意してくれたんでしょうね。いまから褒められていたんじゃ、えらいことになるって。
それと、「噺を教わった人よりもうけて 初めてその人への恩返しになる」っていうのが私の持論なんです。
教わった人よりうけなかったら恩返しにも何にもなりません。
私は若い時から師匠や先輩の前でも「なぁに、負けるもんか!」ってやりましたよ。
だから、私よりうけなきゃダメだって弟子には言うんです。
私のところにもずいぶん後輩たちが「教えてください」って来ます。
で、教えますよ。「ああしろ、こうしろ」「ここが違う」とね。
そういうふうに噺を教えることはできるんです。ただ、間を教えることはできない。
私たちの商売は、早く自分の間をこしらえた人間が勝ちです。
いつまで経っても間のできない噺家がいる。もっと極端に言うと、生涯間のできない噺家がいる。
間抜けって言葉があるじゃないですか。それと同じですよ。
だから、自分の間を拵えた人間が勝ち。それは自分で研究し、掴むしかないんです。
それから、私が大切にしている言葉に
「芸は人なり」というのがあります。
薄情な人間には薄情な芸、嫌らしい人間には嫌らしい芸しかできないんです。
だから、なるたけ清楚な、正直な人間にならなきゃダメだって。
それが芸に出てくる。
これは噺家ばかりじゃないですよ。ビジネスマンの方でもそうだと思うんです。
だからこういう言葉があるじゃないですか。「品物を売るんじゃなくて自分を売れ」。
それと同じですよ。・・・以下略≫

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