ふるさとだより

保育園を心のふるさとに(part8)

2013/05/09

近年核家族化と共に、食生活の乱れが気になります。朝食を摂らなかったり、おやつはお菓子の袋を預けられたり、好きな物ばかり与えていたり等々。こんな時だからこそ、日本の食文化の伝統や、食の大切さを子どものみならず親にも伝えていかなくてはならないと痛感しています。

園庭で野菜栽培


園内にある畑。子どもたちは見守り、育てた野菜のいのちをいただく

園庭に小さいながらも畑があります。調理残さや給食の残りをEMボカシと米のとぎ汁EM発酵液ですべて肥料化して、キュウリ、ナス、ネギ、シソ、ピーマン、トマト、サツマイモなどを少しずつくっています。作業は保育士が主に行うのですが、子どもたちは苗の成長を楽しみにして見守っています。花が咲いたら「きれいだね~」と喜び、実が付いてくると「大きい」「小さい」と言いながら収穫までを一喜一憂しています。こうして収穫できた野菜は、給食の食材で活かされますが、野菜が苦手という子どもでも挑戦してみようという気持ちが起こり、「食べられたよ、おいしいね」と笑顔を見せてくれます。

子どもたちが苗植えから参加するものにゴーヤづくりがあります。乳児室の窓際にグリーンカーテンで植えられたゴーヤは、子どもたちに苦い体験を提供します。毎年9月初旬の土、日曜日に行うお泊まり保育では、採れたてのゴーヤをジュースにして皆で飲みます。子どもたちはこの苦味は苦手ですが、いろんな味覚を体験する機会と考えて、毎回「ウエ~」という奇声を浴びながらも実施しています。

6月は夏祭りの園内みこしで振る舞われる恒例の梅ジュースづくりが年長児によって行われます。使用する梅は、保護者からいただいたり、ない場合は市販の梅を購入しますが、この場合米のとぎ汁EM発酵液でしっかり下洗いをします。年長児は、梅のヘタを取ったり、ジュースが抽出し易いように梅にフォークで傷を付ける作業を真剣に取り組みます。梅干しづくりでも毎年、ヘタ取りに活躍してくれます。


夏の一大イベント、園内みこしは子どもも保護者も総出で盛り上がる

園内みこしは、保護者全員のみならず祖父母も応援に駆けつけてくれる夏のイベントです。子どもたちが担いだみこしは、園を出発し、神社に行きお参りをして記念撮影。再び園に戻って会食します。この時にトウモロコシと梅ジュースが振る舞われます。皆さんマイカップを持参で、子どもや孫の手づくりジュースに目を細めて味わっておられます。保護者や祖父母が子どもや孫の成長を見守っているのと同じくらいとはいかないまでも、子どもたちは園庭で野菜を栽培する一連の行為から、食とはいのちを育て、そのいのちをいただいていることを体感しています。そして、「食べものさん、ありがとう」の感謝の気持ちを育んでいきます。私たち保育士は、幼児期こそ知識としてではなく、体験することを重視した保育をめざしています。

平成21年ーEM環境マガジン11回連載ーより 抜粋