金子みすずさんの代表作は『私と小鳥と鈴と』と言われていましたが、東日本大震災以降は『こだまでしょうか』と言われるようになったそうです。金子みすず記念館館長の矢崎節夫氏は言います。以下も彼の言葉を借ります。
“「こだま」は相手を丸ごと受け入れるというです。「ヤッホー」って言ったら絶対に「ヤッホー」って返ってくるんです。「ばか」とか「うるさい」とか返ってこないわけです。・・・・かつて、私たちの周りにいた素敵な大人は、子どもが転んで「痛い」といった時に「痛いね」と言ってくれました。だからその痛さは半分になりました。でも残念なことに、20世紀のある時から、私たちはこだましない大人になりました。「痛くない」っていうようになりました。このお父さんなら、このお母さんなら愛してくれると思って生まれた子どもです。一方的に痛くないと否定し、泣くなといった時、言われた子ども達はどんな思いだったでしょうか。とても切なく、寂しく、悲しい思いの中で、でもそれを言うことができずに、全部自分の器に押し込んじゃったんです。その器がいっぱいになった時、彼らは何をしたかというと、一度その器をひっくり返したのです。
それを見た大人は何と言ってきたか。「なんであんないい子があんなことするんだろう。怖いね。」って。全部人のせいにしました。でも時代や社会、学校を変えたのは子どもではありません。多くの大人が相手に佇まずに、一方的に自分の言いたい言葉だけをぶつけてきたせいでそうなってしまったことに、私たちはずっと気づかなかったんですね。半世紀以上も埋もれたみすずさんが蘇ったのは、もう一度私たちに言葉の大事さを気づかせようとしているからだと思います。”
子どもを丸ごと受け入れてあげられるよう努めていきたいとあらためて思います。おとうさん、おかあさん、「あなたは私の宝物!あなたの全部を愛しているよ!」と言ってあげてください。世界中の子ども達がこんなふうに育てられたら、素敵です!