これは作家、西村滋氏の著書『お菓子放浪記』を映画化したものです。先日の土曜日に東京で西村氏の講演会がありました。西村氏は7歳でお母さんを、9歳でお父さんを亡くされ、天涯孤独になり、様々なつらい経験をしたそうです。戦時中の貧しい時代、警察のお世話にもなったそうです。ある時菓子パンが食べたくて、お金がないので盗んでしまったら、ものの5分もしないうちに、食べないうちに捕まってしまったんだそうです。刑事さんに連れられて、鑑別所に連れて行かれる途中のバス停で、刑事さんが売れ残りの菓子パンを2買ってくれました。2つだから、刑事さんと一つずつ食べるんだろうと思っていたら、2つとも食べていいと言われました。今まで、1つのものを一人で食べた経験がなかったそうです。何でも大勢で分けてきたのです。どんなに感激したことでしょう。だから、この刑事さんをがっかりさせないようにしなければ、刑事さんのためにも世の中のためになる人間にならなければ・・・と固く思ったそうです。この刑事さんに対する強い感謝の思いが、『お菓子放浪記』という素晴らしい本に仕立てあげたようです。真剣に向き合った!とおっしゃっていました。この映画がまた素晴らしいようです。ロケ地はなんと津波で跡形もなくなってしまった、岩手県の風光明媚な海岸地だそうで、これも余計に見たい気持ちにそそられます。予告編では子役がすばらしい演技をしています。“お菓子になって、みんなの心をやさしい気持ちにしてあげて”というくだりに胸が打たれそう・・・です。戦時中は、特にお菓子は子どもにとっての憧れです。
この映画は全国どこでも…というわけではなく、7月16日に栃木県で行われるようですが、茨城県では予定は今のところありません。興味のある方はネットでご覧になって下さい。