これは、気仙沼市や陸前高田市などの、あの3月11日の実際の体験を生々しく綴った作文集です。年長さんから小・中学生まで80人の作品が収められています。(『つなみ』 文芸春秋 8月臨時増刊号)
野球監督のお父さんを亡くした子は、お父さんに負けない選手になりたいと書き、お母さんを必ず見つけてお父さんと三人で暮らしたい、と書いた子もいます。過酷過ぎる現実に向き合って、作文を書いた子供たちは、“書けた(表現できた)”ということに、確実に前向きに成長していることに、より胸が打たれました。
戦争での広島や長崎の体験を、風化させないで語り継いでいかなければならないのと同様に、つなみの恐ろしさを身をもって体験したこと、不便な生活を強いられたこと、もまた、語り伝えたいことだと思います。
当地は、被災地とはいえ、まだまだ恵まれています。“のど元過ぎれば熱さを忘れる”にならないよう、たまには子ども達にも読んで聞かせようと思います。